2012年4月27日金曜日

前提条件

ビデオカメラで撮影、編集する実習授業を担当している。

授業で撮影した動画素材をプレビューしてもらうと、ときどき「!」とか「?」な素材を見ることがある。

授業で使用しているハイアマチュアやセミプロ用と、ご家庭で使う一般コンシューマー向けのビデオカメラにおける一番大きな違いは、マニュアル操作ができるかどうかである。
学生は、カメラもデジタルな世代だし、写真は携帯電話で撮ることが多い。レンズを向けてシャッターボタンを押す、それ以上の作業は、そこには発生しない。だから、マニュアル操作のできるカメラを渡しても、ボタンを一つ押す以上の作業は、なかなかしないのである。

ある学生が持って来た素材は、ぼけぼけのピンぼけばかりである。カメラについている小さな液晶画面では気にならないのだろうが、プレビュー用の大画面では、ぼやぼやでわけがわからない。どうしてこんなにピンぼけなのかと聞く。
「きっとカメラが壊れているんです」。
使っていたカメラの動作を確認する。いやいや、カメラ壊れていないよ。ピントリングがマクロの固定になっているだけだよ、まずピントを合わせなくてはね、という話をするが、学生の頭の上には「?」マークが踊っている。
「だって、カメラを向ければ、普通、撮影できるじゃないですか」。
疑うことなき完璧なフルオート世代である。
うーむ、私のようなマニュアルな世代では、「それじゃ、普通、撮影できない」。

ピント、というのがあってだねえ、という話から始めなくてはならない今日この頃である。

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