大学合格が人生最大のゴールだったりするご時世である。
こと美術大学に限っては、就職率も良いとは言えないし、大企業にお勤めする先輩も多いとは言えない。「大学は出たけれど」を地でいく状態が卒業後も待ち構えているのは今も昔も明白なので、入学は決して「終着駅」ではない。
しかし、受験産業や高校の受験担当教諭にしてみれば、大学合格がゴールとして設定されているわけなので、どうやって「希望大学に合格するか」が戦略の要である。そのためには、脇目もふらず、最短ルートで、効率よく、学習して合格させねばならない。
ま、それも分からなくはないが、そういった傾向が学生に染みついており、何をやるにしても「最短ルートで効率よく」やろうとする。
ところが、美術学校の課題にせよ、社会に出てからのプロジェクトにせよ、どんな作業でも「最短ルートで効率よく」やれることばかりではない。リサーチを含んだプロジェクトでは、調査したことの7割方を表出させることなく「お蔵入り」させることはざらである。ではその7割はまるっきりの「骨折り損」だったのか、と言えば決してそうではない。10年後、20年後に、ふと役に立つことがあったりするのである。
10年先、20年先に役立つかどうかは分からないが、大化けする「ネタ」になるかもしれない。それでご飯を食べられるようになるかもしれない。最短ルートは、短期的には「お得」だが、長期的には「骨折り損」の方が「お得」だったりするのである。
私なぞ、大学に入ってからというもの、寄り道ばかりしているような気もするが。
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