2024年3月28日木曜日

サービス

 同居人の父母の具合が悪くなったのは20年ほど前で、介護保険制度が始まる前後だった。二人とも相前後して病になったので、どちらかといえば「泊まり込み付き添い看護人」を探して、お世話になることから始まった。途中で制度が出来たり、変わったりなどして、看護人と家事手伝いの線引きが出来た。家事手伝いでも、作業の内容によって違う人が担当するようになった。看護人は数名でローテーションを組んでもらったが、家事手伝いはいろいろな人が来た。来てもらう人が変わるたびに、一応対応して、いろいろと覚えてもらわなくてはならない。義父母とも、病気ではあるが、アタマは元気なので、いわゆる「注文がやたら多い病人」である。相性が悪い人もいるわけで、「家事ヘルパー」の交代が多かった。

そんな頃と比べると、20年も経てば、ヘルパーの作業内容も整理され、また技術も向上している。とても便利に「介護サービス」を利用できるようになったなあと思う。

2024年3月27日水曜日

うかうか

 人生あっという間、という言い方があるが、うかうかしている間に更新の隙間が1年も空いてしまった。ぽちぽちと何らかのカタチで書いているものの、文字にしていると気が済むのか、更新までに至らず、などと言い訳めいたことを考えている。

間が開いてしまったのは、実家の方を見ている時間が増えたからだ。母の他界後、父が一人暮らしになった。最初のうちは、一人暮らし満喫、という風情だったのだが、やはり高齢なので、いつまでも同じようには暮らせない。そもそもが、昭和一桁世代、モーレツなサラリーマン世代でもあり、家事の一切をやった経験がない。体力も気力も記憶力も次第に落ちていく。何だか怪しいなあ、と妹と相談して、介護サービスを利用するようになったのが一昨年。これもまた次第に利用するサービスの種類や量も増えてきており、既に介護サービス無しでは生活は出来ない。サービスでお願いしていない掃除や洗濯、ゴミの片付けなどのために、週に1−2回ほど様子を見に行っている。往復だけで5時間。泊まりがけと言うほどの距離ではなし、仕事もあり、同居も考えにくい。この先どうするかなあ、と考えるようにはなった。

2023年3月17日金曜日

安心

プリンターのセッティングをしていた。まずはプリンター本体のシリアル番号をメーカーサイトでユーザー登録しておく。それから別のページからドライバをダウンロード。その際に、「ユーザー認証」という手続きがある。ユーザーIDとパスワードだけではなく、SMSへ送られてくるパスコードを打ち込み、やっと本人と思ってもらえるわけだ。

考えてみるとここ数年は、コンピュータやアプリケーションの起動、あるいはサイトのログインの時には片手にスマホ、という場面が増えた。ウェブサイトへのログイン、アプリケーションのライセンス確認など、ログインIDとキーワード、それにスマホにアクセスキーをSMSで発信し、それを打ち込む、という作戦である。これのおかげで、スマホを使わざるを得ない、のか、あるいはスマホ利用前提でシステムを組んでいるのか、そもそもスマホを使わない人はどうするんだろうと、老婆心ながら考えてしまう。

セキュリティ的には、このご時世、何をやっていても「安心」とは言えないので、手数が増えた分だけ安心感が増すか、とも考えにくい。まあ、儀式だよねえ、と思うことにする。

その昔は、ユーザーIDとパスワードでも面倒だなあ、などと考えていたものだ。高額なアプリケーションでは「ドングル」というのがパッケージに同梱されていた。インターネットバンキングの最初の頃は「暗証番号発生装置」のようなカードが郵送されてきた。いろいろとあの手この手を考え出すものだ、と感心する。

2023年3月11日土曜日

年度末その3

 通信教育課程の方は、通学課程と学事予定が違う。こちらは2月末日が課題やレポートの締め切り、3月いっぱいが採点、進級と卒業の判定、卒業制作展示、片付けたら卒業式である。通信教育課程は入学試験がないので、2月半ばから3月半ばくらいまでが年度末の多忙な時期である。

というわけで、このところ、通信教育課程の方の課題が山積しており、採点に精を出していた。

 課題提出の締め切りが2月末日。逆算して1月半ばくらいから提出が増え始める。通信教育課程なので、レポート作品の送付には郵便局の第四種というのが適応されている。まあ、いまどき郵便ではなく、オンラインで提出だろ、と思う向きもあるかもしれないが、実は密かな楽しみが切手拝見である。たかだか15円、なので、いつも使っている絵はがきやお手紙の定額切手だと額が大きい。みんな工夫しており、2円や1円がぞろぞろ並んでいたり、ちょっと昔に発行された懐かしい切手だったりする。

1月も半ばを過ぎると、少しずつ「速達便」が増える。260円加算である。うーん、レポートが17回も送れるぞ、などとケチなことを考える。2月に入ると、念のためか配達証明、レターパック、ゆうパック、宅急便などが増えてくる。速達料金に上乗せして、時間と提出した安心を買うわけだ。

送料をおごっても、課題違反だと、再提出になってしまう。課題文をもう少していねいに読むと、課題違反にはならなくなるだろうにと思うが、締め切りには間に合わない。当たって砕ける方が、潔いのかもしれない。

2023年3月10日金曜日

年度末その2

 日本の学校は4月始まり、だから前年度末は3月、が建前なのだが、大学では年度末は12月から1月初めである。現役の学生さんは、だから12月あたりでほぼ年度内の授業が終わる。授業の回数は前期後期とも13週が基準だから、計算すれば1年のうち、授業があるのはほぼ半分、あとは試験とか追試が2週ほど、数えてみれば、授業以外のいわゆる「お休み」期間も多い。

学生さんはお休みだが、学校サイドはお休みにはならない。1月に入ると卒業制作展、採点、集計、大学院入試、それから入試、入試が終わるとやっと卒業式、それが終わると新学年の準備、という段取りである。年が明けて1月から3月が、スタッフ側としては多忙な時期である。悲しいことに、花粉症のピークと重なって、とても辛い。

2023年1月18日水曜日

年度末

ここしばらく、と言っても、トシのせいか、数年が十数年というスパンに近くなるのだが。

大学の入学選考試験のバリエーションがやたら多くなった。入学試験の科目選択から始まって、センター入試利用、学校推薦、自主推薦、AO入試、適性資格推薦だのともろもろ。何が選考の基準になるのか、はたから見ると分かりにくい。しばらく前から、実技試験を経て入学に至らず、「絵を描くのは苦手ですう」「美術は不得意ですう」という学生が出現するようになった。「描くことは下手だが、美術好きなので、描くことはやぶさかではなく、上手くなるためにはがんばりたい」と言うのならまだしも、「苦手なので出来れば絵は描きたくない」のがなぜか多い。世間一般で言う、「美術学校」のスタンダードは、今や昔、である。美術学校の卒業生だからといって、絵が描けるとは言えない。さらにこれに留学生試験が加わるので、入学試験は5−6種類にもなる。選考側としては、共通の合格基準があり、よく言えば「多様性」があるわけだ。

おかげで、新入生の実技授業は、学科試験だけで合格した実技超初心者を相手に始めざるを得ない。もちろん、ある程度のスキルのある学生も入ってくるので、こちらにとっては超初心者向けの講座は、当然、面白くはない。今の学生にとっては「タイパ」は重要なので、「復習」とか、違う視点での学習の再構成、といったものは、「無駄」にしか見えない。

こういったことを考えながら、年度末の3月いっぱい、新年度の授業についてあれこれ悩むことになる。

2023年1月9日月曜日

お土産

 元日の朝は、例年やたら分厚い朝刊が届く。販売店から「いつもより厚いので、新聞受けには入らない場合、まわりをぐるっと見渡すように」という、ご注意のチラシも年末に入る。

ところが今年は、あれ?というくらい、分厚くはなかったので、ちょっと印象が違った。初売りセールのチラシも少ない。なんだか景気が悪いのかしら、という気分がする。

私は習い性で、朝は新聞を広げないと気が済まない。だからと言って、隅から隅まで熟読するというわけではないが。

妹の家は、かなり前から新聞購読はしていない。以前、ビジネスマンであるところの旦那様は、駅売りの朝刊を買って、電車内で読んでいた。そんな家庭習慣なので、甥っ子は新聞を読むという習慣がない。ニュースはもっぱらLINEだそうだ。

というわけで、実家に集まったときに、妹が持ち帰る「お土産」のひとつが、「古新聞」である。新聞は読まないが、古新聞は野菜の保管や掃除に便利なので、欲しいらしい。なんだか不思議な「お土産」である。