2012年5月24日木曜日

偵察

一昨年の春のことである。翌日の授業の準備をしていると、書斎の上の方から、こそこそと音がする。

夜はほとんど音が聞こえないので、ネズミじゃないだろうねえ、と言っていたら、数週間後どうもぴーぴーと、ときどき音がする。隣の家の屋根の上に、ムクドリがよくとまっている。どうもそのムクドリが、軒裏の小さなくぼみを見つけて、巣を作ったらしい。定期的に聞こえるぴーぴーは、雛の声のようだった。
数週間後、合唱のボリュームが大きくなり、それからしばらくすると声はぱたっと聞こえなくなった。巣立ったらしい。

家に鳥が間借りするなんて、のどかでいいですねえ、などと呑気に友人が言う。いやいや、鳥を狙ってネズミが来たり、巣の後が腐ってしまったりしたらごめんだよと、外壁塗装の足場がかかったときに、巣を撤去して入り口に金網を張ってもらった。

ムクドリは毎年同じ場所に巣をかけるのだろうか。どうも、こちらの様子をよくうかがっている鳥がいたのだが。

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