さて、くだんのプランである。
「全編手持ちの主人公の主観ショットで撮影して、主人公と観客を一体化させます」。
「見たことがないので斬新、というわけでもない」という学生もいる。「映画やテレビドラマでもよく見るじゃないですか」。
うーむ、同意はしかねる。純粋な「手持ち」は、「みんなのビデオ投稿コーナー」とか動画投稿サイトの素人ビデオくらいしかない。
アメリカのテレビドラマに「ER」というのがあった。救急病棟の撮影で、狭いところや人の間をすりぬけるようなショットが印象的で、話題になった。
このような撮影を「手持ち」だと、学生は見なしているわけである。
しかし、たいていは「ステディカム」という機材を使った撮影である。肉体装着型の撮影補助機材で、現在は様々なタイプのものが開発されている。これらは、カメラを常に水平垂直に保ち、ブレを押さえるためのものである。扱うにはそれなりの技術が必要なことは言うまでもない。
知らないことは、時として無謀なプランを生み出す。
無謀だが、やってみて「うーん、いまいち」といったことがわかる方が授業としては有効なので、たいていはこう答える。
「よーし、君が斬新だというのなら、やってみてよ。頑張ってよね」。
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