2012年5月4日金曜日

寄り道

さて、ここでよく頭を抱えるのが、出題の意図とちょっと離れた作品が提出されるときである。講評で「どうしてこのような作品になったのか」と聞くと、「自分のやりたかったことをやってみた」というお答えである。

うーむ、禅問答のようだ。

「課題では自分のやりたかったことが出来ない」と言われることもある。

課題とは、本来自分のやりたいことではないことが多い。直接自分の要求するスキルだけを学べるわけではなし、自分が社会に出てすぐには役に立たない、と判断してしまいがちである。「即役に立つ」ことではないことを学ばなくてはならないのは、人生にとって無駄に感じるかもしれない。今は役に立たないかもしれないが、将来役に立つかもしれない。そのための「引き出し」を増やすことが学生生活では存外大切ではないかと思う。

長い人生、いろいろあって、回り道して、若い頃にかじった「あれ」が、メシのタネになった、などという話は、我々の世代ではたくさんある。受験勉強で近道早道ストレートを歩く癖がついているかもしれないが、そんな学生にいろいろと寄り道を教えたりする今日この頃ではある。

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