2014年7月31日木曜日

業務

非常勤講師というのは、授業が開催されている期間のパートタイマーである。
授業やってなんぼ、の世界なので、当然のように授業がなければ、ただの「ぷう」である。

勤務校では専任教員が200弱ほど、それに対して非常勤は700弱という人員構成である。
大学というのは、かくも非常勤で支えられている、非正規雇用の世界である。

勤務校は研究室単位で教育を行っているので、教育の実務は研究室が仕切っている。行きつけの研究室では400人弱の学生に対して、専任教員が8名。もちろんまんべんなく全員が授業をやっているわけではなく、非常勤の担当する授業数の方がはるかに多い。だから、実質的な業務というのは、研究室の「スタッフ」6-7名が行っている。「スタッフ」は4年契約の一応正規職員という名前の「助手」、1-2年契約アルバイトという扱いの「教務補助」がいる。専任並みの「研究職」という名目の、実務雑用係である。どちらも卒業して間もない若手が担うのが「恒例」だ。学生さんたちにとっては「先輩」にあたるわけだ。

私の頃は、一般的な大学は、ゼミに入って、修士や博士の論文を書いて、助手になり、講師になり、助教授になり、教授になる、というピラミッド構造な研究室が多かった。勤務校は、ピラミッド、ではない。専任の方が実務スタッフよりも多いのである。専任は終身雇用制でなかすげ変わらず、しかし実務スタッフは4-5年で一新、学生は常に新陳代謝している。
助手をやったからと言って、講師になったり助教授になったりすることは少ない。専任人員は簡単は増えないので、一番上の退官のタイミングでしか決まらない。確率から言えば、10年とか20年でひとり専任に上がれるかどうか、というところだ。専任教員は公募ではなく、どちらかと言えば「内々」で決まる傾向がある。しかし、公募制がベストか、と言えば、そんなことは言えないかもしれない。
昨今のIT化だの、少子化による販売促進の増加(つまり進学相談会とか、進路相談フェアなどへの専任のご参加、オープンキャンパスなどの開催)だのと、業務はだんだん増える傾向ではある。

困るのは、4-5年おきに実務担当の若手が入れ替わるので、業務の引き継ぎトラブルが定期的に起こることだ。長年勤めている専任は、実務業務などやらないので、フォローできない。もちろん研究室では、授業以外の雑務も多くなっていて、授業と販促ではどちらが優先なのかといぶかしむことがある。
優秀な人材を育てる、というのはどちらかと言えば勤務校にとっては、「優秀な社会人養成」なので、自分の学校の人材育成はあまり関心が無いように見える。パートタイマーの立場から言えば、大学は「研究」するところではなくて、「授業」するところだ。

ちっこい単科大学、歴史や過去の実績で今後も生きていけるのか、不安になることがある。

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