言葉として考えるのは簡単だが、実際の被写体として用意しにくい、というものはたくさんある。もちろん、人間なら「演出する」という動かし方があるのだが、人間ではない被写体は、そうそう簡単に人間の思うようには動かない。
スケッチは学生の思うようには飛んでいかない。イメージ通りにひらひらと風には乗らない。
もし彼らがそういった実写映像を見てインスパイアされていたのだとしたら、その元の映像は相当「作り込まれた」ものであるはずだ。風にそよぐ白いシーツがはためいている合成洗剤の広告でも、たまたま映ったものではなく、イメージに合わせて「はためかせて」いるはずだ。
晴れるまで待つ、と言ったのは天皇黒澤明、という逸話がある。オープンでの撮影のときに、思った通りの空模様になるまで、ひたすら待った、という話だ。もちろん「待つ」のは「ロハ」ではない。スタッフもキャストも仕事はないが、待機状態なので、人件費は撮影しようがしまいが、同額払わなくてはならない。1日待って何百万、という勘定である。もちろん、1-2日どころではなかったので、逸話になったのである。
学生の課題ではもっとタイトなスケジュールを組むので、想定通りの風が吹くまで待つことなど出来ない。
0 件のコメント:
コメントを投稿