2014年7月7日月曜日

反応

毎年、年度はじめには、学校の事務方からいろいろな書類が送られてくる。辞令とか、住所変更のお届け用紙とか、今年の学事予定表とか、そういったものだ。その中に、オフセット印刷のパンフレットが入るようになってしばらくになる。

「セクシャルハラスメント」についてのご注意喚起についての書類だ。学生にも同じ印刷物が4月のオリエンテーション時に配布されているようだ。いわく、どんな場合の、どのような言動が「セクシャルハラスメント」にあたるかという「ガイドライン」の解説、それに該当されると思われた場合のご相談窓口の開設時間と場所、あるいはご相談すべき学内の担当委員のリスト、などである。

ずいぶん前になるが、友人であるところの男性が、女子大学で美術実習を担当していた。学生は机に向かって作業をしており、先生であるところの友人は机の間を回りながら指導する。とある学生の机に向かって、実習指導を始めた。先生は立っているので、上から見下ろす格好になる。机の上の画面に実際に描画するのに、かがみ込む格好になる。とつぜん、その学生が黄色い声を上げたそうだ。「先生! 私の胸ばっかり見ないでください!」。季節は夏、学生は薄着で露出の多い格好になる。襟ぐりも深い服だったのかもしれない。
先生であるところの友人は、びっくり仰天したそうだ。まあ、学生本人が自覚するほど「豊胸」、とは思わなかったからだ。その場でなんとか納めたんだけどね、というのを後日聞いた。先生はその気でなくても、学生がそう叫べば、「セクハラ」と思われてしまう。そのケースでは、「温厚でセクハラとは無縁で無害なキャラクター」な友人と、「常日頃露出度が高く自意識過剰な」女子学生、というのが一目瞭然だったそうなので、社会問題にはならなかったらしい。

それでなくても、美術学校では、デッサンやクロッキーでヌードモデルを使う。「肉体」でいちいち反応していては美術はやっていられないのではないかと思うが。

0 件のコメント: