長期休暇中、特に春休みや夏休みは美術館にくる小中学生が多い。たいていは、ノートやスケッチブック持参で、熱心にメモをとっている。熱心な子どもは、床に座りこんで、キャプションやパネルの文章を丁寧に書き写したりしている。大人だったら図録を買って、家に帰ってじっくり読み直したりするのだろうが、子どもは実に丁寧に書いている。観察していると、展示品を見るよりも、書いている時間の方が長いのではないかと思ったりする。中学生などはワークシートのようなものが美術の授業で配付されていたりする。それを字でびっしり埋めねば、と必死に書いているようにも見える。
こんな美術館訪問では、楽しめるわけでもないだろうなあ、とよく眺めていたりもした。
先日見ていた展覧会は、「手で考える」ことが展示のテーマのひとつでもあった。展示品は多く、内容も盛りだくさん。展示会場内では撮影禁止のサインがあるのに、受付の係員に「写真を撮影させて欲しい」と頼んでいる若い人がいた。「自分用の記録メモとして」撮影したかったようである。会場内では、電話やスマホを片手に展示を見ている若い人も多かった。ぽちぽちと「メモ」したり「つぶやいて」いるらしい。
小中学生がノートに鉛筆で書き写したりしている方が「アナログ」ではあるし、キャプションを書き写すことが美術鑑賞とは少し違うような子もするが、まあそれも人生修業かもしれないなと思うようになった。
シャッター1発で簡単に撮影したもの、電子的なテキストは、記録にはなるかもしれないが、あっという間に記憶からなくなってしまいそうな気がする。記憶として残すためなら、手を動かした方がいい。特に美術やデザインを志向するのであれば、手を動かしながら考えた方がいい。
0 件のコメント:
コメントを投稿