2012年1月26日木曜日

対策


入試では「持ち込み用具」というのが要項で発表された。
受験生はそれを見て、どんな試験なのかを知った。
今はもう少し、詳細が要項で指示されていたりする。曖昧な指示や解釈で不公平が出てはいけないと配慮されてはいるようだ。

油絵の試験では、6時間に「油絵の具一式」、つまり時間内に完成させなくてはならない。乾きにくい絵の具だけに、乾燥対策にさまざまな材料や技法を持ち込むのが一時期流行った。
次の年には、どんな新しい手法や材料が秘策として出てくるのか、試験監督としては興味津々である。

次の年は、試験会場に入ったら受験生に紙袋を渡すように、という指示があった。「持って来た画材を全て入れる」のが、試験監督マニュアルだった。
受験生の目が一斉に点になった。
紙袋に入れないものは筆とパレット、油壺くらいである。乾燥対策に砂や石膏、たぶん乾燥用のメディウムとして使用するだろう粉類、フィクサチーフをはじめとするスプレーや乾燥促進剤などなど、紙袋に入れると、試験監督が確認してガムテープで封印する。
次に、数色の絵の具、油の小瓶を配付する。その絵の具で描くように、という指示である。
砂も石膏もフィクサチーフも、紙袋の中である。

試験する方もあの手この手を考えるものである。
しかしこの作戦にしても、何回も使える「秘策」ではない。
お互い大変なのである。

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