彫刻専攻の入る校舎が建て替えられる前、その横には小さな小屋があった。
午前中そこらを通る習慣のあった私は、そこの「住人」をあまり目撃したことがなかった。
日本画なら飼っているいきものの定番は「鳥」である。ある日午後、たまたまそこを通ったら、ヤギさんが数頭くつろいでいた。
学内のどこかであれば、唐突に、どんな大きさの動物用の小屋があっても、「おー、(人間ではない)モデルさんの控え室だねー」と考えてしまうようになると、それはもう立派に「美術学校モード」である。
午前中、ヤギさんたちは「モデルさん」として、お仕事にお出かけになっていたのだった。
もちろんそこも、趣味で飼育していたわけではない。人間に限らず「モデルさん」のお世話は、当然、学生さんたちのまわりもちである。いまどき、犬猫よりも大きな動物の世話など、家庭ではあまりやらないだろう。
ヤギさんの世話が出来る、ということも、きっと将来の何かの役に立つに違いない。
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