2014年11月8日土曜日

ミンク

同居人は小学校の図工教師をしていたので、いわゆる学校向けの画材メーカーなどと出入りがある。サクラとかぺんてるなんかが、その代表格だ。
小学生向けの絵具というのは、考えてみれば「すごい発明」なのかもしれない。安価であるが、誰が使っても同じような色に発色し、当たり外れがない。小学校の近くには御用達の文具屋さんというのがあって、そこで絵具を補充できる。日本全国津々浦々、どこでも同じ絵具である。多少古くなっても、チューブによって密封されていて、変質することもあまりない。

これがぼちぼち絵が好きになって、ということになると、まずはじめに凝り始めるのは「画材」である。小学校向けの水彩絵具は「不透明絵具」というものなので、それをもう少し大人向けの画材メーカーの「ガッシュ」にする。小学校で配布される「画用紙」ではなく、ちょっと高い「水彩紙」、たとえばアルシュ、ワトソン、ハーネミューレ、などというのを使ってみる。筆も、アクリルやナイロン繊維のものではなくて、天然獣毛、例えばリスやコリンスキーなどにしてみると、もう断然「違う世界」である。ミンクのコートは着ないが、ミンクの筆は最高である。

一方で、取り扱いには注意が必要になってくる。絵具の保存方法や変質が気になるようになるし、紙の保存方法、筆の手入れも気を使うようになる。絵具のパレットを筆で洗うような「こども」には使わせられない。たわし代わりにわしわし洗って、穂先が広がってしまって、こわれちゃったねー、というには、コリンスキーの筆はあまりにも高価だ。ナイロン筆が10本や20本が大人買いできるくらいである。

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