2014年11月13日木曜日

失ったもの

先日撮影の仕事で入っていた講座は、音楽と美術のクロスオーバーなワークショップだ。
音楽の方の講師は、音楽史が専門である。美術畑からすると、ちょっと違う畑の人である。だからだろうが、お話は易しく、ツボをつかんでいて、面白い。

美術は「有形」だが、音楽は「無形」なので、視点が違う。今回のテーマは楽譜なのだが、音を記録するためにいかに西洋人が苦労したか、などという話になる。楽譜、というのは、便利なもので、音楽を聴いたことがなくても、楽譜を見れば音楽にすることができる。一方で、失われたものがたくさんある、という。無理矢理記録することで、記録できないことを捨て去る、というわけだ。
ここいらへんは、美術というよりも、写真や映像、日頃の生活を思うと「そうだよなあ」と思うことが多い。
しかしだからといって、「昔」に戻ることは出来ない。便利さに慣れてしまえば、「捨て去るもの」にも眼をつぶることになるのかもしれない。

そんなことを考えながら、本棚の片隅にまだ少し残っているLPレコードをどうしようかと悩んでいる。

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