2014年11月15日土曜日

あこがれ

母親の「いとこ」が引っ越した、という連絡があった。

郊外の一軒家に住んでいたのだが、子どもたちも独立し、それぞれ家族が増えたり、勤務先の都合で少し遠方に住むようになって、夫婦二人で一軒家は大きいと、住み替えたらしい。
駅前から徒歩5分程度のマンションである。鍵1本で出かけられる、というのが、一軒家住まいとしてはうらやましい。
しかも流行のバリアフリーマンションである。2階建て築40年近い実家は、階段や段差だらけである。
「いいなーうらやましいなー」と母親はマンション見学に出かけて行った。

「いとこ」は大学、医学部の先生をしていたので、テクノロジーやら技術やらというのは苦手な方ではないらしい。マンションで母親を出迎えたのは「ルンバ」さんであった。
バリアフリーならこれでしょう、と「いとこ」は自慢したらしい。ほっといても、ひとりで、掃除をしてくれる。しかし、階段や段差の多い実家では「使えない」家電である。
母親は帰ってきたら、マンションよりも「ルンバ」が「いいなーうらやましいなー」になったらしい。「ルンバ」のためにバリアフリーマンションを買うのではないかと思ったくらいだ。

実際に「ルンバ」さんと暮らしている人に聞いてみると、ずーっとお掃除してくれる、とは限らないのよね、という感想が多かった。玄関の段差や靴につまづいて掃除をあきらめていたり、ベッドの下に入って出られなくなっていたり、同じ壁に向かってずーっと頭をぶつけていたり、するのだそうである。


万能な機械、というのは、ない、らしい。

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