便利な世の中になったもので、誰もが、ある程度のお金を出せば、同じような結果を得ることができる。
中世のヨーロッパの絵画工房では、徒弟制度が一般的だ。子どもの頃に丁稚奉公から入って、雑用などしながら、道具や絵具のつくり方から習う。画材は買うもの、ではなく、工房でつくるもの、である。絵画を描くことは、だから「一般的」な趣味ではない。お仕事である。
仕事が増えると作業は細分化され、集中され、技術が上がる。そうして、道具や絵具をつくることが、絵画工房から分離して行く。
しかし、誰もが同じ色を出せる絵具を手に出来る今、描くことに対する情熱はどうなったのだろうか、と思うことがある。小学校で「お絵描き」が、成績として評価される今、それは「情熱」でなく、「義務」になってしまったり、子どもによっては「苦行」になったりしていないだろうか、と思う。
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