意外に音声の伝える情報はあなどれないのである。
画面の中に音源が見えるときに聞こえる音を「ONの音」、画面の中に音源は見えないが聞こえる音を「OFFの音」と言う。R・マリー・シェーファーという現代音楽家の書いた本「サウンド・エデュケーション」中に、耳を澄まして音を拾う、といった課題がある。やってみるとわかるのだが、耳で拾える音は音源の見えない音が意外に多い。エアコンや壁の向こうの音、背後の音など、生活や日常の音で、あまり「認識」していない音も多い。
林を撮影した画像に、カッコウをかぶせるか、ドバトの鳴き声をかぶせるかで、その場所は山の中にも感じるし、人里近くにも感じる。小学校の校庭でも小さく踏切の遮断機の音を入れると、線路の近く、飛行機の音をかぶせると飛行場のルート、大きな飛行機や軍用機の音をかぶせると基地の近く、というように感じる。人混みの雑踏でも、飛び交う言語が違えば、違う国に感じるし、商店から流れる音楽で時代を感じさせることも出来る。
音声は環境や状況など、目立たないけれど非情に重要なバックグラウンドを伝えていたりする。
音声を伴う映像は、ことほどかように上手に「嘘をつく」。その方法はさまざまで、特に音は人の意図を感じさせないことが多い。
0 件のコメント:
コメントを投稿