2012年6月17日日曜日

デッサン力

水平垂直と言われたのが何となく頭の片隅に残っていたりしたのだが、考えてみると私の時分、デザインとは手作業であった。
烏口やロットリングでコンマ1ミリの30センチの墨線を数ミリ間隔でストライプにするとか、ケント紙を30センチ長さ数ミリ幅で切り刻むとか、印画紙の表層の部分だけ数ミリ四方ではぎ取るとか、コンピュータでDTP作業をやる現在では信じられないような「修業」があったのである。
まあデッサンも「美術修業」のうちなので、まあ黙々と描くしかない。これが将来何の役に立つかなど思いもしなかったのだが、意外に便利なのである。

例えば、ギャラリーの展示である。
同居人が、額縁を吊す。あちらは「よしオッケー」な顔をしているが、こちらは何かむずがゆく感じていたりする。メジャーを持って来てはかってもらうと、額縁の左右の高さがコンマ5センチほど違っていたりすることがよくある。水平定規やメジャーを出す前に、あらかたの作業の目処はつけられる。正確に作業を終了するために、最終的には必要ではあるが。

例えば、ケーキの分割である。
仲間内で大きなケーキを切り分けるときに、人数分平等に分割しなくてはならない。ロールケーキ5等分とか、ショートケーキ7等分なんかの分割は、特に微妙なので要注意である。これが平等に分けられるのが「デッサン力」の見せ所だったりする。私自身はあまりデッサンの出来がよろしい方ではなかったので、平等に切り分けられる自信がいつもある、というわけではないが。

人生修業は、いつ、何の役に立つか分からないものなのである。

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