主任教授はもちろんデザイナーさんなので、室内にはポスターが飾ってあり、机の上の小物はしゃれたものが多かった。
ある朝、出校した主任教授が机の上を見るなり、今日の当番が誰か、と言われた。何か粗相があったのかと見に行くと、机の上のものが並んでいない、と言われる。それなりに並んでいるようではあるが、先生にとっては机の上に水平垂直をきちんと合わせておくことが「並んでいる」ということなのであった。その日の当番は、机の上を拭いて、郵便物など「適当」に置いたらしい。斜めになっていた。
その日の当番には、口うるさい親父に見えたのかもしれない。しかし、それなりに年季の入ったオジサンから言われると何となく説得力があった。
その日の先生のお小言は、デザイナーであれば、水平垂直を常に考えなくてはならない、というものであった。その時分は、版下作業というものがあり、写植や図版を台紙に貼り込むのがデザイナーさんのお仕事でもあった。写植を斜めに貼ったりしてはならないのである。
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