2012年6月10日日曜日

手の中

通っている大学では、3年次の転科編入制度、というのがある。2年次を終わった時点で、違う学科の3年生に編入できる。だから、極端な例で言えば、油絵学科に入学したが、卒業時は彫刻学科、というケースになる。
じゃあ彫刻学科の2年次までの授業はどうなる、といった論議はあるにせよ、最短経路で進路変更が出来る、というのは、学生にとってはありがたいことだったりする。身も蓋もない言い方をすれば、「とりあえず入ってしまえばこっちのもの」といったところである。

担当していた映像系の学生で、3年次に工芸デザインに転科を希望した学生がいた。そこそこセンスのいい学生で、将来有望と見なされていたので、何人かの先生は少しびっくりしたことがあった。まあ、本人がそういうのだから、それが一番いいことにちがいない。転科の理由は何か、と聞いたときに返ってきた答えは、「手の中に入るもの、自分の手で触れるものをつくりたい」だった。

映像や写真の作業では、常に相手は「虚像」である。触れるもの、手の中に入るもの、手触りのあるもの、には決してならない。

彼にとって「つくる」ということの意識の中に、「手」というものがあるんだなあと、再認識したことがあった。

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