2012年6月7日木曜日

好感度

きょうび、キャンパスを歩いていると、昔と違って「普通の大学」っぽい感じだなあと思うようになった。

私が入学した頃は学内に立て看板がごろごろ、あちこちに自転車がランダムに駐輪して、ロッカーの上には彫塑の課題の木彫りの足首、階段の裏の薄暗がりにはこれまた彫塑の課題のコンクリのシイタケ、廊下には作品の巨大パネルが立てかけてあったが埃まみれで何年ここにあるのかという風情、壁には所狭しとサークル勧誘、上映会、コンパ、ゼミ勧誘、などなどのビラが貼ってあった。トイレは言わずとしれた「落書き」にサークル勧誘のビラ、用を足すのか落書きを眺めるために入るのか、といった個室もあった。学内は、ひっくりかえしたおもちゃ箱のようなところだった。

消防のご指導もあるのだろうが、今や立て看板はなし、ビラも指定掲示板があり、ロッカー周辺に荷物の散乱はなし、廊下におきっぱなしの作品はなし、トイレはきれいになり洋式温水洗浄機能付きで殺菌消毒用の薬品常備、壁はタイルだから落書きしにくいし、自転車は指定駐輪場以外の駐輪は禁止。なんともこぎれいな環境である。
それに輪をかけているのが、オープンキャンパスというイベントで、受験予定者や関係者、もちろんご父兄ご家族が自由に学内の授業を見られるという販促活動である。それに向けて学内清掃業者は力を入れて清掃しているのだが、「保護者対策」に感じることもある。つまり、きれいなキャンパスはご父兄の好感度が高く、特にトイレの衛生陶器と機器の充実度、それに清潔度はお母様の評価絶大、受験に結びつきやすいのだそうである。

「ハコモノ行政」ではなく「ハコモノ教育」に見えるからむしろ敬遠されるのでは、と思うのだが、それはこちらの「勘繰り」かもしれない。

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