4年生で選択した授業は、自宅作業ではなく工房作業が多かった。機材は工房にあるわけだから、自然と学内にいることになる。当時はロックアウトと言って、夜8時半には構内の電気が強制的に切れる。だから、作業は8時半には終了しなくてはならない。逆算して朝は9時前にやってきて、工房の解錠を待つようになる。
のべつ学内でうろうろしていると、たいてい朝早い当番の守衛のオジサンと、授業開始前に校内清掃をしているお掃除のオバサンと顔見知りになる。そのうち、顔パス、今日も大変だねえ、オバサンもお疲れさまでーす、などと声をかけるようになる。
卒業してすぐに研究室に勤務するようになったので、やはり朝は早くから、夜はロックアウトまで学生さんの作業につきあう羽目になった。守衛のオジサンには、勤務することになったのでよろしくお願いします、みたいな挨拶回りが定番である。
6月になったある日、廊下で出会ったお掃除のオバサンに、「今年も大変ねえ」と言われた。あまり何も考えずに、「今年も頑張りまーす」などと返事をしていた。
翌年の5月頃になった頃だろうか、やはりお掃除のオバサンに「今年も大変ねえ」と声をかけられた。その時もあまり何も考えずに「今年も頑張りまーす」などと返事をした。翌週同じオバサンに「ホントに今年こそ頑張って卒業してね」と声をかけられた。
しかし思い返してみると、お掃除のオバサンたちには、ご挨拶回りなど「根回し」はなかったのである。
きっと留年していたと思われていたのだろう。
翌年、同じオバサンには合わなかったので、清掃会社の配属替えとか勤務時間の変更などがあったのだろう。誤解を解く機会がなかったのが残念ではあった。
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