2012年2月26日日曜日

ふつう


授業で学生と話していると、ときどき話が食い違い、それがどんどん大きくなってしまうことがある。会話の中でこんなフレーズが出てくると要注意である。
「ふつうそうじゃないですか」
いや普通じゃないのよ、と言うと、あからさまに不満な顔をしたり、ときには逆上したりする。
「だってそうじゃないですか」

たいていは彼らが「普通」と思っていることは、世間一般から言えばごくごく少数派であったり、まれなケースだったりする。「普通」とは自分を含めたごく狭い「世間」のことを言っている。
たとえばこんな感じである。

正月の決まり事について何となく話が進んでいる。
「正月の雑煮は、鶏肉に決まっているじゃないですか」
しばらく話していて、いや、そうとは限らないのよ、とでも言ってみる。
「えーそんなことないですよ。だってふつう鶏肉じゃないですか」
いやいや、ぶり塩鮭するめハマグリ、丸餅角餅焼き餅煮餅あんこ入り、おすまし白味噌赤味噌小豆、いろいろあるのよ、と諭してみる。
「だって、うちの雑煮がふつうなんです」
もう頑なである。

いやだから、君のうちが全国的なスタンダードではないんだから。

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