2012年2月15日水曜日

ウサギ


同居人がその小学校に赴任した頃、校庭の隅にウサギ小屋があった。小学校で小動物など飼育するのは今も昔も変わらないなあと眺めていた。かなり広い小屋に、1匹が住んでいた。最初は2匹で飼っていたのが、1年ほど前に、1匹が先に死んでしまったので、その後やもめ暮らしをしているのだと言う。

動物の世界に人間の世界を反映させようとするのは子どもにありがちなことである。ウサギが1匹で寂しそうだから、ともう1匹のウサギを飼うことに、その後の飼育委員会で決まったらしい。

おいおい、である。ウサギは人間と同じ感情を持っているわけではないのである。委員会の先生は何も言わなかったのかと考える間もなく、ウサギの新入居者が来たらしい。隣の大学は理科系の学部があり、実験ウサギが何匹も飼育されていた。新入居者の補充は、実験のお下がり、キャンパス内を横切るだけだ。
まあともあれ、案の定、である。子どもたちは、仲良く2匹で生活することを夢見ていたのだろうが、ウサギは縄張り意識が強い。やもめウサギは新人ウサギに猛烈な喧嘩を仕掛けて、怪我を負わせた。

結局引き離した上に、新人の方は教室内ケージ飼いになったようだ。やもめウサギは、その後は心おきなく、広い小屋でやもめ暮らしを満喫したそうだ。

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