今も昔も学生はアルバイトをする。
先立つものはお金である。美術作品には金がかかる。
私のやったバイトで一番割が良かったのは「配膳人」である。日本語で言うと何かと思うが、英語で言えばウェイトレス、ただし結婚披露宴である。
ホテルを始め、披露宴を持つ会場での給仕は、何人かがホテルの人で、あとはアルバイト、といのが多い。披露宴の入っている日時だけ、仕事がある。都内にいくつか「配膳人紹介所」というのがあって、そこに登録しておく。登録所は、仕事のある日時に行ける登録者を捜して、仕事の日時を伝えるのである。だから、定期的に仕事があるわけではない。「来週の日曜日、2時にKホテル、行けますか-」という電話がかかってくるので「行きまーす」と言うと、集合時間と場所、持参品など詳細を教えてくれるのである。
持参品はたいてい、「指定された色(ほとんどは肌色)のストッキング」だ。集合場所で、給仕用のユニフォーム一式と靴が用意されていて、自分のサイズを探して着替える。給仕頭に当日の仕事を割り当てられて作業開始である。披露宴は3時間から4時間なので、その間は立ちっぱなし、休憩なしなので、そこそこ肉体的にはハードである。終わったら、ユニフォームと靴を返して解散、後日口座に紹介料を差し引いたアルバイト料が振り込まれた。
毎週末に仕事があるわけではなかったので、時給は良かったが実入りは余りよいとは言えなかったかもしれない。披露宴会場はそれなりにドラマがあって、当事者でなかったから面白かったし、その裏方の仕事ぶりを見るのは楽しかったので、差し引きゼロというところだろうか。
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