今も昔も学生はアルバイトをする。
美術と全く関係のないアルバイト、というのもある。
担当していた学年の女子学生の話である。当時は知らなかったのだが、卒業して何年もしてから会ったときに、そういえば、という話になった。
「私、ウグイス嬢をアルバイトでやったのよ」と言う。
彼女の実家は普通のサラリーマンだし、コンパニオンや劇団の役者をやっていたわけではなかったので、すごく意外だった。
そのクラスの同級生の一人に、政治家の親戚をもったのがいた。在学中に総選挙があり、ご親戚ももちろん立候補した。政党に所属していたので、同じ政党からもたくさんの候補者が出る。発足したての政党なので実働部隊が少ない。そこで親戚の坊やに実働部隊の招集が言いつけられたらしい。所属政党の誰かの宣伝カーに白手袋で乗る。同期には「僕は違う候補者の事務局を手伝ったよ」という男子学生がいた。
アメリカの映画を見ていると、選挙事務所の手伝いのシーンがよく出てくる。応援団でボランティアだったりする風情である。
美術学校の学生さんはほとんどがノンポリに見える。その頃名前を連呼した候補者を、彼女は覚えていたり、その後の動向をワッチしていていたりしたのか、ということは聞き損ねてしまった。
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