2014年10月16日木曜日

経験談

携帯電話が大学生の必須ガジェットになった頃、学生さんの映像課題でもよく使われる「小道具」になった。

学生さんの課題作品は、概ねその時の彼らの生活が、良くも悪くも、そのまんま反映される。
もちろん、学生さんの作品のうちで、ドラマになっているものの多くのテーマは「恋愛」である。普遍的なテーマでは、ある。

恋愛状態そのものが映像として昇華されるわけではない。表現の特質上、たいていは「出会い-ときめき-告白-あるいは両者の意識の確認-それに対する困難-乗り越えてゴールイン」といった図式がある。短編の場合は、どれかの局面の三つから五つをまたぐようにシナリオを設定する。

19-20くらいの学生さんの「リアルな恋愛」としての経験から描くとすれば、まあそこいらへんまでだろう。べたべたに惚れ込んで骨まで愛して自分を見失い、ずぶずぶになっていく、などという演歌のような泥沼や修羅場は経験してはいない、と思われるからだ。
担当している授業では、ごくごく短編の作品を要求するので、「恋愛状態」そのものではなく、二つから三つの局面をまたいで変化を描くようにと助言することになる。ご指導としては、いきなり相思相愛でアツアツ、といったゴール状態を描くのではなく、主人公が片思いを告白するための葛藤とか、相思相愛を確認するまでのすれ違いとかを描くほうが、映像的な「物語」として構成しやすい。

ただそれでも、人生経験が少ないので、どちらかと言えば従前のテレビドラマや映画で見た恋愛物語のステレオタイプになりがちである。そうでなければ数少ない自分の人生経験を反映した物語を想定することになる。

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