2012年7月26日木曜日

シャッター音


現在、「学校」というところで教えられている「映像」系の授業では、多かれ少なかれ「機械」による作業が伴うことが多い。機械や技術の上に成立している表現でもあり、その依存度はとても高い。しかも、技術的な開発がとても早い。

私が学生だった頃は、実写で映像系の表現、と言えば、もちろんメディアはフィルムである。16ミリフィルムはネガなので、撮影したら、現像して、焼き付けなければならない。最終的に作品にするには、ネガを編集し、初号焼き付けをとり、その後現像所で焼き付けの指定をする。その後に上がったフィルムが「第1号」である。撮影する(フィルム代+現像代+ラッシュ代)×本数、出来上がる作品の(初号焼き付け代×長さ+指定焼き付け×長さ)合計料金が必要である。その他に、白味黒味素抜けカウントリーダーなどの作業用消耗品にあたるフィルム、作品用のリールやケースも購入する。もちろんこれは画像だけの話で、音声を制作するのであれば、また別途費用がかかる。
短編映画であっても、メディアにかかる費用に百万単位は必要である。当然学生さんを始め、アマチュアでは「長編」など思いもよらない。シャッターを押せば、「じゃー」というシャッター音と共に、1万円札が上からばらばらと落ちていく、という感覚である。
撮影後、最終的にオーディエンスの前に出せるものを実際に見るまでに、いくばくかの時間もかかる。あがりを想定しながらの作業は、素人には五里霧中、玄人には経験がものを言う世界でもある。

現在は、逆にフィルムのメディアでは授業が成立しなくなってきた。需要が減ってきたこともあり、フィルムの生産が減り、従ってフィルムの種類も減って選択肢が狭くなった。現像所が軒並み撤退しつつあり、以前は中1日で出来た作業が中3日くらいかかるようになった。そうなると、もっと授業では電子メディアを多用するようになり、フィルムのマーケットはもっと狭くなる、という循環に陥る。

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