新宿までバス15分というところから、東京と埼玉の県境の郊外へ引っ越して10年ちょっとになる。
引っ越した年の秋、回覧板がやけに頻繁に回ってきた。不審者出現につき注意しましょう、などという文面である。不審者が出現するたびに、状況が回覧されるのである。
不審者は、ものを取ったりしないようだが、庭になっている柿を食べたようである。縁側に柿のへたとタネが残っていた。
不審者は、ものを取ったりしないようだが、庭履き用のサンダルをあちらこちらへと散らかしていたらしい。
不審者は、ものを取ったりしないようだが、花壇に踏み込んだらしい。
うーむ、ホームレスが夜中にうろうろしている、あるいは空き巣が下見している、という図なのだろうか。
警察にパトロール強化のお願いをした、という文書も入るようになった。
その数週間後、毎月恒例の回覧板が回ってきた。中にこんな文書があった。
「不審者のお知らせについて」
まあ結局のところ、ホームレスや空き巣がうろうろしていたわけではなく、どうもタヌキの仕業だったらしい。どこかの家の庭で遊んでいるところを、何度か目撃されたようである。
郊外のニュータウンらしいお騒がせ、ではある。
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