東京ではここ数日が桜の花見時である。
都心を移動していると、ちょっとしたところで桜の木があるなあと思う。川べりや公園、学校などは定番である。たいがいはソメイヨシノという種類である。同じ種類だから、同じ時期に一斉に、右へならって、咲いていく。
染井にある墓所には、大きな桜の木があった。明治の頃からそこの墓所を使っているのだが、いつ植えたものなのだろうか、私が行き始めた頃には、その墓苑でもひときわ大きなソメイヨシノがあった。おそらく植えた人はそんなに大きくなるとは思っていなかったのだろう、その桜の幹は、太くなりすぎて隣の墓石によっかかり、根が地表に出てきてその近くの墓石を傾け始めた。台風のときに大きな枝が折れて、境目の垣根の木を倒した。大きな枝が折れると同時に、ほかの枝が枯れ始めた。枯れた枝はやはり風で落下しやすくなる。それより何より、根が傾けている墓石は、墓所内のいちばん大きな墓石だった。まあ今日明日に倒すことはないだろうが、桜の木の様子から言うと、枯れるのが先か、墓石が倒れるのが先かなあ、と植木屋が言った。
結局桜の木を伐採することになり、同時に墓所も整理することになった。
ソメイヨシノは成長が早い。あっという間に大きくはなるが、一方で寿命が短いとも言う。墓所を使い始めた頃に植えたのであれば、6−70年にはなっていただろう。花と一緒で、短い間に生き急ぐ木でもある。
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