2015年4月13日月曜日

アピール

勤務校は美術系の学校なので、学生もそれなり、である。没個性化ではなく、突出した個性をアピールしたがる学生も多い。就職の現場でも同様である。
スーツを買えない、という理由ではなく、「見栄」でスーツを着ないで面接に行く猛者もいた。

落語研究会に所属していた学生は、広告代理店のプレゼン面接に紋付袴で出かけた。プレゼンはもちろん「社員」や「デザイナー」としてではなく、「落語家」としてのアピールで、度胸とはったりを買われてか合格。
アパレルメーカーに就職したい女子学生は、お姉ちゃんが10年ほど前に愛用していたそのメーカーの「商品」を着て行った。もちろんそれなりにくたびれていて、流行遅れである。他の学生はスーツ、あるいは当該年度の当社の商品だったようだが、重役面接で「懐かしいのを着ているねえ」と目に止められ、会社愛を確認されたか合格。
プロダクションの面接に出かけた学生はなんと普段着だった。卒業制作の最中で徹夜の連続、目の下にクマを作っていたが、よろよろと途中経過の制作作品を見せに行った。なりふりかまわず製作に打ち込む根性を買われてか合格。


受ける方も、採用する方も、そんな時代もあったのである。

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