2014年6月21日土曜日

音入れ

さて、ここ数回同じように多いのは「音作業」である。

学生さんは、テレビはあまり見ないのだが、いわゆるミュージックビデオの類いはインターネットなどでよくご覧になるらしい。
今年の学生さんはそれが多いらしい。実写のフィクション映像の課題にも関わらず、「音と画像」についてのアプローチが多い。
アクションで同録した音を切り刻んでリズムや音楽に編集するプランだったり、役者のアクションに別の音をはめかえる、いわゆる「音入れ」プランだったりする。

まあ実験映画の時代からおなじみの作戦であり、目新しいものではない。ビデオクリップという媒体がポピュラーになったので、まあそれが「お手本」に見えたり、彼らにとっては新しい手法に見えるのだろう。効果としては面白いので、やってみたいと思わせるのかもしれない。

たかだか数分のミュージックビデオだが、実際には結構なお金と時間と人手がかかっている。撮影は周到なプランと準備があり、相当に時間をかけた作業が行われる。規模が大きいと、長編商業映画並みのものになり、話題になったりする。2時間分の金と時間と労力がつぎ込まれているのだから、濃厚で濃密、高品質でインパクト大でないはずはない。
学生さんにはそれは、「ふつー」に撮影して、「ふつー」に編集したように見えるのだろう。なぜならそれは「ふつー」に見えるからだ。

映像という表現にとって「ふつー」に見えることは、実はものすごーく大変なことなのである。あまりにも「ふつー」に見えるので、「すごーい」ようには見えないからだ。もちろん制作者は、作成の「苦労」を伝えたいわけではないので、そんな「苦労」など見せはしない。ごくごく「ふつー」に見えるように、細心の注意を払っていく。それがプロと言うものである。

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