2014年6月19日木曜日

ブーム

1年生の授業では、ビデオを使って60秒ほどの作品を各自で作ってもらう。
グループでひとつのプロジェクトを作ってもらうのだが、面白いことに年度によって作風に「ブーム」があったりする。

10年ほど前のブームは「世にも奇妙な物語」風、であった。
特殊な設定を想定した状況を映像化してみせる、というものだ。犬が言葉をしゃべるとか、蛇口からオレンジジュースが出るとかいう世界を見せるのである。ストーリーや映像的な語り口、というのではなく、特殊な状況を映像の上で見せたい、というだけである。

その次のブームは「異次元もどき」風、である。
時間と空間を組み合わせることで映像は世界観を構築するものなのだが、それを組み合わせて、並行したいくつかの世界を描こうとする。あちらでおきている出来事が、こちらでおきている出来事とは全く違うのだが、遠目に見えたり、見え隠れしたり、という具合である。
仕掛けとしては面白いのだが、仕掛けを見せることに終始するだけなので、「だから何だ」というものに仕上がることが多い。

学科の特色から言えば、ストーリーものが多くなる傾向がある。
ミニドラマ、といったおもむきになるのだが、得てして「もりもりに盛りだくさん」な内容を考えてしまうことが多い。真面目にやったら15分は必要だねえ、という具合である。

ストーリーものでも、ひところブームだったのは「死亡入り」である。
主人公がいて、まあいろいろなことがあるのだが、人生の転機が訪れる。それは「親しい人の死」であった。
まあ、考えることはいいのだが、「生まれる」「死ぬ」以上に大きな人生の転機はない訳で、そう言う意味で言えば、「生死」が入れば否が応でもドラマチックにならざるを得ない。ずるい作戦である。

フィクションを考えるときには、「禁じ手」に近いものがある。

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