2014年6月16日月曜日

少数派

一昔前に比べると、美術学校と言うのが増えたり、今時だと景気が悪かったりで、受験率はずいぶんと低くなった。うらやましい。

現在の学校内を眺めると顕著なのは、男子学生が減ったことだ。就職率などという、ご両親ウケする数字が高いわけでなし、大手一部上場企業に終身雇用、というのも少ない(というか、ほとんど皆無)。今時美術学校に来るのは、冒険家あるいはチャレンジャーである。
しかしなぜか、美術学校の男子学生と言うのは、どちらかというと線が細い学生が多い。良い意味で繊細、なのかもしれないが、自己主張があまりなく、協調性もリーダーシップもいまひとつ、頭の回転が速いと言う訳ではないが、邪気がなく、素直である。
しかも、何しろ、まわりは女子学生だらけである。何かと言えば、男子学生だけで集まってつるんでいる様子は、何となく不思議な光景ではある。
これが逆の状態、つまり男子学生が多いクラスで女子少数、という場合、女子だけでつるんでいる、というのはあまり見かけない。

グループワークをするにあたって、学生を数名のグループに分ける。
以前、グループひとつに男子を集めて、他のグループは女子だけ、という組み合わせにしたことがあった。
男子学生はつるむとお互いを切磋琢磨するのではなく、甘やかす傾向がある、というのをそのときに発見した。女子同士だと、お互いの素行管理が厳しくなる傾向がある。それが行き過ぎると「あの人とはやってられない」と開き直る学生が出現する。
耐性をつけるためにも、男子と女子とをまんべんなくシャッフルしてグループを編成した。最初はおずおずとしていた学生も、そのうち女子学生と何となく丁々発止とやりとりするようになる。意外と「俺様のやることに文句を言うな」という亭主関白タイプは出ない。口八丁なのは女子の方なので、何かと言いくるめられることも多い。女子学生がリーダーシップをとったとしても、不快感を表す学生もいない。

悪く言えば覇気がない。ただ、よく言えばやさしい男子学生が多くなったんだなあと思う。

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