親友のお父さんは、エンジニアだった。ばりばりの理系である。
私はへろへろな美術系なので、当たり前だが、考え方も価値観も全く違う。
退職後は、三宅島に移住して、畑仕事を楽しんでおられた。理系の百姓なので、考え方が違う。野菜のことは種苗屋に直接聞く。データを調べる。忠実に実行する。
経験とか慣習ではないところが、理系である。美術系はたいがいが、マニュアルなし、経験なし、あたって砕けるタイプである。
ある年、お父さんはタマネギを栽培することにしたそうだ。種苗屋に問い合わせると、苗は30センチ間隔で植えるように、ということだったらしい。手元のロープを30センチに切っておく。ひとつ植えると、ロープをピンと張って、隣を植える。きっちりと30センチにしようとしたところが、理系である。美術系なら、目見当で、適当に済ませてしまうところである。
残念なことは、ロープが引っ張られて「伸びて」しまったことであったそうだ。手伝いに行ったお母さんが、すべての苗を植え終わって畑を眺めたら、「格子状」だが、「台形」な感じで植わっていたらしい。
美術系用語で言えば、「ちょいとパースがきついねー」という状態だ。
お父さんは残念ながらもう亡くなられたけれど、新タマネギが八百屋に並び始めると、「パースなタマネギ畑」を思い出す。
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