2014年3月23日日曜日

たて

さて、学科は「新設」なのだから、教員もスタッフも新しく集められる。ことにその学科は、国内に同じような教育目標やカリキュラムを持った学校がなかった。始まる前から手探り状態である。ぼちぼちと教員やスタッフ、カリキュラムが決まってきた時期に、声がかかった。教員もスタッフも外部から来る人が多く、学内事情が分からない、ということもあったのだろう。他の学科の研究室で助手の任期が終わる頃に、新設学科を手伝うことになった。

勤務校の研究室、というのは、専任が4−5名、助手が1−2名、それにアルバイトの補助員が1−2名、という構成であることが多い。1学年6−70名ほどの学生の、カリキュラムを組み、時間割を組み、工房や機材の手配りをし、専任で足りなければ非常勤を手配し、授業を運営する。
一般の大学の個人研究室のような人員構成ではないので、「専任がすべて船頭状態」になりがちである。自分の専攻ジャンルの教育課程や目標は考えられるが、他の人の専攻については口出ししにくい。そのため、どうしても「縦割り」な状態になることが多い。
「縦割り」の利点は、当該の専攻ジャンルについては、段階的なカリキュラムが組めることだ。
ひとつの「縦」だけを選ぶ、ということは、当該の専攻ジャンルだけを学ぶ、ということになる。それはある意味で「専門学校」の教え方に近いだろう。

勤務校では、学生は「縦」のひとつだけを選ぶのではなく、最初はすべての「縦」の授業を受けて、そのうちだんだんにひとつの「縦」にしぼる、という構造で学習を進めることが、「一般的」な方法だった。だから、新設学科でもことほどさように、「だんだん絞り込む」方式のカリキュラムが想定され、準備されていた。

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