しばらく前に、富士フイルムが映画用のフィルム製造を中止、というのが新聞記事になっていた。
一般的な映画と言えばフィルムサイズは35mmである。
最初の映画、と言われているのは、1800年代末にフランスのリュミエール兄弟の発表したものだ。彼らが使ったのも同じ帯状のフィルムである。そもそも、静止画の写真がフィルムの上に定着できたから成立した発明である。こういった技術の開発初期というのは、さまざまな技術や発明が同時期にいくつかの地域で行われたりする。今のように情報がとびかったりしないし、国が違えば技術は開発に対する考え方も違っていて、実のところ誰が「映画の発明者」か、というのは曖昧である。
ともあれ、「帯状のフィルムに静止画が連続的に撮影、定着され」たものを「透過光によって拡大投影する」ものが「映画」と呼ばれている。その時期から、映像の記録はフィルムの上に行われていたわけだ。
テレビ、という電子映像を電波によって配信する技術が出てきた。それまでは、テレビ番組といえど、フィルムを使って記録していた。そのため、「生放送」というのも多く、記録に残っていない名番組、というのが多い。こんどはそれを電気的に記録することを考えるようになる。それが「ビデオ」という電子映像のことである。
当初はアナログ方式で記録されていたビデオだが、デジタル記録になり、テープがファイルとして記録できるようになった。技術の進歩は早く、ついていく方は大変だったりする。
一般ユーザー向けの動画記録が「デジタル」になっても、フィルムを使った映画やCMの撮影はそれなりに続けられていた。撮影や上映の機械特性による表現は、デジタルのそれとは似ているようで違う。フィルムの方は定着された画像を手の中に入れてみることが出来るが、デジタルを含めた電子映像はメディアそのものを眺めても画像は見えない。再生する機器やディスプレイが必要だ。
製造中止は、時の流れと思わなくてはならないが、手の中から何かがこぼれ落ちてしまいそうな気がする。
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