2012年12月12日水曜日

パンク

男子学生の「はじけかた」には、いろいろなパターンがある。学校に入って、サークル活動や交友関係で、ずいぶんと「身なり」が変わることがある。

以前受け持っていた学生は、入学時はごく普通の男子学生だった。入ったサークルは音楽系、当然のようにバンド活動に熱が入る。熱が入ると、放課後のコンサートだの、学園祭でのパフォーマンスだのと、いろいろと活動の予定が組まれる。当然のように外見も変わってくる。
彼の場合は、パンクロックだった。
ロングのカーリーヘアー、革ジャン革パン、安全ピン、チェーンが腰からじゃらじゃら、である。
まあそれなりにえらいよねえ、と思ったのは、夏でも同じ革ジャン革パン安全ピン、だったからだ。汗をだらだら流しながら(もちろん冷房もない)、実習である。2年に上がっても、3年になっても同様である。それなりに、身体を賭けて、熱中症も厭わず、パンクロックに傾倒しているのだと思われた。

学生も4年になると就職活動というのがある。その頃は、就職も売り手市場で、結構大きな会社から募集がたくさん出ていた。彼は自分の道を行くのかと思いきや、親に言われたので就職する、と言う。数日後、見慣れない学生が教室に混ざっている。ショートヘア、リクルートスーツ、ビジネスバッグを抱えてきた。普通の「就活」学生である。大手の広告代理店の就職説明会から帰って授業に出たパンクな彼、であった。

パンクななりで説明会に行ったら、それはそれですごいと思っていたし、そういう学生を採用する会社こそすごいよねえ、と研究室では話題にしていたのだった。
彼にとっての「パンク」とか「ロック」は、あっさりと「就職」に負けてしまったのだった。

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