2016年7月8日金曜日

大食漢

行動記録の中でも「食べる」ことは、取り上げたいもののひとつのようである。
自己紹介、というテーマの課題だと、たいてい「食べることが好き」、あるいは「私の好きな食べ物」といったコンセプトの作品が出てくる。
生理的現象で共感が得やすいということは、本能的に知っているのだろう。それだけに、他者の何と共感できるのかということは曖昧なまま、表現に走ることが多い。

教室内で女子学生がスパゲッティを食べる。カツ丼を食べる。カレーライスを食べる。

場所は同じ教室内で、衣装もメイクも同じである。
どう見ても「大食漢な女子」あるいは「過食症」なのだが、本人的には「食べることが好き」で「普通に小食」だそうである。

映像で表現するときには「時間」と「場所」の情報を的確に提示する。場所が同じで衣装が同じであれば、時間的に継続していると認識される。これがスパゲッティを教室で食べる。カツ丼を学食で違う衣装で食べる。カレーライスをラウンジで違う衣装とメイクで食べる。そうすると、それぞれ全く違う場所と日時に見えるので、いちどきに「三食平らげている」という認識にはならない。

これも、「つくること」を通して知る、映像の読み解き方の基本である。 

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