ブーム、と言わず、たいてい出てくるのは「恋愛」ものである。男女共学、その年代はそれしか考えることがないからである。
10年ほど前だと、男子学生と女子学生のなれそめ、みたいなものが「ブーム」だった。階段ですれ違う、ものを落として拾ってもらう、宿題を見せてもらう、レポートを出しに行ってもらう。自分たちの生活の延長なのだが、いかんせん、制作している本人たちは恋愛中ではないことが多く、リアリティがない。どうしても自分たちが見ていたドラマや映画の「なぞり」になってしまう。描き方がステレオタイプ、である。
そのうち、自分たちの恋愛体験をそのまま描こう、というのが「ブーム」になった。
男子学生が学食にいる。携帯電話がポケットで鳴る。電話を見るとメールが来ている。「好きよ、慶子より」。男子学生はぽちぽちとボタンを押す。「僕もだよ。太郎」。笑顔である。
実際の体験がそうであったのかもしれないが、映像としてはあまり「面白い」とは言えない。学食の学生と携帯電話のディスプレイしか画面では出てこないからである。
トシをとると疑心暗鬼になるのか、人間ひねくれてくるのかよく分からないが、わたくしほどになると、最初のメールを「慶子」本人が送ったものかどうかすら疑う。慶子の携帯電話をお母さんが取り上げて打っていたらどうするのか。いやあ、お父さんかもしれないなあ。そういえば、おうちに電話、という時代は、よく妹や姉が本人の振りをして声色で返事したりしたよなあ。その傳で、一家全員でうぶな太郎君をおちょくっているのではないか。
今で言えばオレオレ詐欺とか、なりすまし詐欺にすぐひっかかっちゃう太郎君であった。
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