2013年1月6日日曜日

みかん


同居人は、公立、私立、国立と、さまざまな小学校を渡り歩いた。それぞれメリットもデメリットもあり、子どももご家庭もいろいろである。卒業して既に10年以上も経つのに、丁寧な年賀状をくれるお子さん(もうすでに大学を卒業したいいお嬢さんだが)がいたり、元担任の定年親父を飲み会に誘ってくれるクラスもある。

地方出身の人と話をすると、まず東京の初等教育事情について驚かれることがある。幼稚園や小学校のお受験は、バブルの頃が絶頂期だったとは思うが、いまもそれなりに「ホット」な話題でもある。
就学前の子どもの「見分け」というのは、受ける方からすると「そんなもの分かるものか」というくらいだが、大勢の子どもを見ている「受けられる側」からすれば、それなりなものだそうである。

私の通っていた私立中学校には、下に小学校があった。そこの入学試験は数時間にわたるものだったそうである。同級生の体験談で、ずいぶんと昔の話なので、今も同様であるとは思わないが。
お遊戯や体操をやらせたり、お絵かきやお人形遊びをさせたり、といったことを通して、先生たちが子どもを観察するのだそうである。ひとしきり、そんなことをやったあとで、おやつと称して、ミカンが配られる。それを食べたら試験はおしまいだったらしい。
実はその「ミカンの食べ方」というのが、けっこう重要な試験項目で、食い散らかしたりしたら「アウト」だったのだそうである。「模範解答」というのがあって、皮を四方向にむいて、白い筋を取り、一房ずつ食べて、薄皮だけを残す。食べた後は薄皮を表皮にくるんで、見苦しくないように折りたたむ、のだそうである。

本当かどうかは定かではないが、皮ごと食べたり、二つに割ったり、いきなりかぶりついたり、してはならないのだそうである。私は「模範解答」のような食べ方をしないので落第。ああ小学校を受験しないで良かったなあと、思ったのだった。

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