2016年2月22日月曜日

アスペクト比

動くものを記録し、再生する、というフィルムの発明から百数十年、フィルム送りの機構の制約もあるのだが、基本的に動画のアスペクト比は横位置、途中では変更できない。一方シートフィルムの方は、そういった制約はなく、ポートレートを撮影することも多かったので、縦位置の構図もよく使われた。動画の場合は撮影も再生も同じアスペクト比の画面を使う。
そもそもフィルムのアスペクト比もどうやってそうなったのか、という話もあるかもしれないし、テレビ画面のアスペクト比は誰が決めたんだ、という話もあるかもしれないが、人間どうやら横位置が落ち着いて見ていられる、ということだったのかもしれない。スタンダード、という比率があって、フィルムで言えば16ミリ、テレビで言えばNTSCアナログ放送などは、4:3。今時のハイビジョンテレビは16:9なので、かなり横長である。そもそもそれも、映画館で見るようなワイドな画面、シネスコサイズを志向していたので、という話もあった。少なくとも、その頃は「縦位置」の動画はインスタレーションなどの特殊な上映形態が必要だった。
そういった経緯で、基本的に動画は横位置、再生画面も横位置、だからカメラも編集ソフトも「縦位置」はフォローしない。ところがスマホで撮影したら縦位置、一眼レフでもひょいと持ち替えて縦位置で撮影する学生が出てきた。編集ソフトで作業しようとしてパニックになっていたりする。「先生っ、画面が縦位置になりませんっっ」。そうなのである。ならないのである。

スマホで撮影してスマホで再生する、デジタルサイネージ用に使うという用途なら、縦位置で編集できるソフトというのもぼちぼちと出現してくるのかもしれないが、あくまでもイレギュラーなものである。 

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