自分で実際に撮影してみると、無理、と言うことが実感できるのだろうが、たいていの学生さんは実験せずに撮影の計画を立ててしまう。紙の上での試行錯誤も少ない。もやもやとしたアタマの中のイメージが、ビデオカメラを持つことで必ず撮影できると過信しているようだ。
映画やテレビの業界であれば、スタッフの業務分担がかなりはっきりしている。
「真っ暗な闇の中、浜辺で女が歩いている。海を見つめてさみしげな表情で空を見上げると満天の星」。
こんな文章があれば、プロはよってたかって準備を始めてしまう。ロケーションコーディネーター、キャスティングディレクター、照明、撮影、録音、もちろん現場にはヘアメイクや小道具大道具も必要になるかもしれない。1−2名くらいのスタッフではない。十数名、アシスタントや雑用係を含めたり、撮影当日には来ないスタッフもいたりするので、延べ人数にすればもう少し増えることもある。
ただ、プロと作業していると必要なことは「こうしたい」「これはだめ」という意思をはっきり表明しなくてはいけない。ぼーっと立っていて、お膳立てされるまま、という状況はあり得ない。スタッフはどうしたいのかと根掘り葉掘り聞いてくるし、途中経過でチェックを要求される。これもまた制作者のアタマの中のイメージがかなり具体的でなくてはならないわけだ。
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