横長の画面になったのはなぜか、という議論が出るたびに出てくるのは、「人間の目玉は横に並んでいるので視野は横長」という話である。
油絵のキャンバスで言えば、ポートレート用にF、風景用にP、海を描くのにM、とだんだん横に長くなっていく。人間は縦に長い動物なので、横長の構図では周囲ががら空きになってしまう。だから、撮影するときに、人物以外のスペースに何を入れるか、というのをしつこく注意したりする。特に初心者は人物しか見ていないので、がら空きになったスペースなど見ていないことが多い。主人公以外の「空きスペース」に、犬がいようが猫がいようがヤギがいようが、気づいていない。横位置は人物を含めた環境や状況も伝えるが、縦位置だとそういった情報は排除できる。人物だけを見せたいのであれば、この方が効率的で、ぼろがでにくい。
必要は発明の母なので、そのうち縦位置専門の放送チャンネルや縦位置専用モニターなどが出るのかもしれない。一般的に現状では圧倒的な横位置な業界なので、全世界的全面的にそうなるとは限らないだろうが。