2016年1月6日水曜日

染井墓地の入り口には花屋がある。
染井にはいくつかの入り口があり、そこにそれぞれ花屋が構えている。墓所には「かかりつけ」の花屋があって、たぶんずっと、最初から、お掃除などをお願いしている。
私が通うようになった頃は、先代のお母さんが店番だった。亡くなった旦那さんは詩人で、サトウハチローに師事していて、待合に詩集がたくさんあった。お母さんは明治大正の人で、常に和服で、鬢を大きく膨らませた結髪だった。
お母さんがだいぶお年を召して、立ち居ぶるまいが少し不自由になっても、店の奥にちんまりと座っていた。
今は代替わりしてお嬢さんだった人が、店を切り盛りしている。今のお母さんである。その息子もずいぶん大きくなって、店を手伝っている。

40年以上通っているが、花屋の佇まいも内装も、全く変わらない。中の人が少しずつ代替わりしていって、時が変わっていくのがわかるだけだ。 

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