その美術館の講座で古典技法を扱ったことがあった。技法としてはテンペラというもので、油絵以前の絵画技法である。講師は日本の中ではテンペラ技法のオーソリティーだが、いたくざっくばらんな人である。
講座が始まって開口一番、「古典技法ですから、教え方も学び方も古典でいきます」。つまりテキストなし、ノートなし、スマホで写真も当然なし、ひたすら講師の手元を見る、という方法である。現代人は「記録」することで安心してしまい、その先にはなかなか進まないもの、だからだそうだ。
くだんの課題にせよ、「記録する」ことを課題にせずに、「記憶して再生する」という方法をとってくれれば、講座に参加して記録することに熱中することもないだろうと思うのだが。
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