20年ほど前は、美術館の教育活動が盛んになった時期で、たくさんの「見学者」がやって来た。ある講座では、参加者よりも見学者の方が多かったくらいである。小学校の公開授業ではあるまいし、後ろにずらっと並んだ大人を見ながら活動をするのは、なんだかやりにくいものである。
関わっている美術館の活動は、自分で見て、体験して、発見することがベースになっている。だから「後ろ」から見たところで、参加者の「実際のところ」は見えにくい。最終的な成果物に評価が出るわけでもないので、活動が「有意義」であったかどうかは、参加者の「気持ち」だけでしかない。
結局ある時期から、見学者としてではなく、参加者として中に入ること、記録を取ることを目的に参加しないことを促すようになった。活動中はレポートのためのメモや記録を取らないことが基本である。傍観者としてではなく、当事者として活動を体験することの方が、ずっと有意義だと思われるからだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿