どんな専攻分野やジャンルであっても、そういった「人生修業」みたいな課題はたくさんあった。
私が卒業したところで言えば、「HAOED」と「面ポ」というのがそれで、我々の世代では合い言葉になっていた。簡単なようで、なかなかクリアできない、寄り道や近道がなく、地道な努力を強いられるが、あっさりクリアしてしまう人も時々いる、というような課題である。
「HAOED」というのはタイポグラフィーの課題で、レタリングしたヘルベチカ書体を切り抜いてスペーシング(今コンピュータでレイアウトしていると、カーニングという言葉が同義)する作業である。課題内容はたかがそれだけ、なのだが。今と違ってケント紙に貼付けていたわけだし、レタリングした文字なので各自微妙にスタイルが違っていたのだろう、隣の人と同じ寸法で間をあけても、再提出になったりした。苦労したおかげで、学生がつくったポスターを見ると、ついついスペーシングを眺めてしまう。
人生修業は職業病になる可能性を秘めていた。
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