2013年3月19日火曜日

面ポ

もうひとつの「面ポ」というのは、写真の課題で、「面接ポートレート」の略である。

当時、グラフィックの専攻ではグラフィックエレメント、文字や製図、写真や印刷などが必須の授業だった。写真、と言えばアナログな時代であるので、撮影-フィルム現像-引き伸ばし、といった一連の作業をする。写真の作業は、一朝一夕で上手くなるものではなくて、それなりの「修練」が必要だと思われていたのだろう。夏休みの課題は「フィルム100本」である。夏休みはおおよそ2ヶ月、60日で、現像などの暗室作業を考えると、1日2本、週に1日はまとめて現像、というスケジュールになる。

36枚撮りのロールフィルム100本分なのだが、100本「大人買い」をすると高くつく。100フィート巻き、というのを買って、使用済みのパトローネに詰め直して使う。
撮影は段階露光をしたりするので、1カットに3-5枚、サイズやポーズを変えて1人につき2-3ショット、だから1本のフィルムに3-7人前後のポートレートが入る。隠し撮りではなく、目線をもらう、というのが原則である。単純計算しても、日常的に周囲の知人だけではとうてい足りない。人の集まるところへ行って、「すいませーん、お写真撮らせて下さーい」とお願いすることで、数をこなさなくてはならない。おかげで、相当面の皮は厚くなったような気がする。
内気でシャイな人にはあまり向かない課題だったかもしれないし、誰でも努力の結果が見える、というものでもなかったかもしれない。それでも、100本フィルムを現像すれば、それなりに暗室作業は上手くなるものだ。

今となっては、苦労しただけに懐かしかったりするものである。同期の卒業生はよってたかると「あーあーあの課題はー」で盛り上がるのであった。

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