2013年3月15日金曜日

提出


同居人はいくつかの学校で非常勤講師をしている。
学期末の採点結果の報告と、学期前のシラバス提出は、恒例行事である。

以前は手書きの原稿を渡しておしまい、だったのが、通信機器の変化とともに、次第に多様化した。USBフラッシュメモリにデータを入れて書き留め送付、CD-Rにデータを焼いて手渡し、というのが数年前で、最近はインターネット上でデータ入稿、といった案配である。
どの大学も同じシステムを使っている訳ではないので、必要なOSだのブラウザだの、細かく指定される。ログインもパスワードをいくつか要求されたり、そのあげく「ログインできません」というエラーメッセージが無情にも現れる。

同居人は気が短い人なので、あれこれと試行する前に大学の担当者に電話をかける。
「ログインできないんだけど」
先方はシステム管理者なので、キャッシュを捨てろ、再起動しろと、指導する。しかしなぜか同居人のマシンでは上手くログインできない。やりとりすること30分、もう一度トライしてから電話することにした。しかしやはりログインできない。
さて、大学に電話しても誰も出ない。午後5時過ぎ、お勤め人は帰宅時間である。
「そちらの大学のために四苦八苦してるんだけど」

原稿を郵送するだけなら、簡単なのである。
デジタルを使いこなせない人には、とても難しい作業のようで、これだけで1日分のエネルギーを消耗してへとへとになっていた。

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